画像処理システムはどうしてもアドホック(目的を達成するための最短な方法を選択、ひいては全く柔軟性のないシステム)になりがちです。しかしながら、いざ現場で調整すると外部環境の変化やサンプルワークと実ワークの違いが発覚して長期間の現地調整が待っています。最悪の場合は要求仕様が実現できずにシステムの引き上げに至る事態となります。このような最悪の結果にならないように、当社は、お客様の最大の満足が永く得られるようコアアルゴリズムを充実することが最適な画像処理システムを実現する基盤と考えております。
科学の視点でアプローチ
画像検査の場合、対象ワークの画像状態の変化を判断して不良と認識することが一般的ですが、環境の変化によって正常なものでも不良と誤認識してしまうことがあります。そこで、画像の変化の幅を科学的に分析・学習することによって正常な範囲か、不良によるものかを判別することが必要です。
一般化・汎用化
開発時間と開発予算の制約から目先のテーマのみに適用できる特殊なアルゴリズムで開発を進めますと、拡張性、柔軟性のないシステムを作り上げてしまいます。当社が開発する画像処理技術は、一般化・汎用化を強く意識し、ロバスト性能の向上と広範囲な用途や時間変化にも対応できるものを目指しています。
コアアルゴリズム実例
過去経験したコアアルゴリズムの用途を下記の一覧表に示します。
アルゴリズム | 位置決め | 検査 | 計測 | 認識 |
---|---|---|---|---|
特殊画質改善 | ● | ● | ● | ● |
特殊エッジ抽出 | ● | ● | ● | ● |
特殊2値化 | ● | ● | ● | |
モルフォロジ | ● | ● | ● | |
フーリエ変換 | ● | |||
ウェーブレット変換 | ● | ● | ||
カラー認識 | ● | |||
ロバスト推定法 | ● | ● | ● | ● |
ハフ変換(直線・円) | ● | ● | ||
正規化相関 | ● | ● | ||
ジオメトリックハッシング | ● | |||
KL変換 | ● | |||
遺伝的アルゴリズム | ● | ● | ● | ● |
ニューロ(MLP) | ● | |||
ファジィ理論 | ● | |||
3次元処理(射影幾何学) | ● | ● | ||
弛緩法(確率的・適応型) | ● | ● | ||
スネークス | ● | ● | ||
計算幾何学 | ● | ● | ||
場の理論 | ● | ● | ||
カオス理論 | ● | |||
多変量解析 | ● | ● | ● | ● |
位置決め理論(狭視野系) | ● | ● | ||
キネマティクス | ● |
●: 応用経験有り
ロバスト推定法
統計学の分野でロバスト推定法という考え方があり、誤差があるデータに対してその誤差の影響を最小にすることを目的とした理論です。ロバストとは「強靭さ」、「頑健さ」と訳される通り、外乱が発生してもそれに影響を受けにくく欠陥やエラーが生じないことを示す言葉で、ロバスト推定法という考え方はロバストとなるように物事を推定しようとの発想で生まれたものです。
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3次元ステレオ計測法
1台のカメラで画像を撮像して2次元の画像計測を行うことはごく普通のことですが、2台以上のカメラを使用して同じ場所を違った角度で撮像することによって撮像対象の3次元上の座標位置が2枚の画像から求められます。これは人の2つの眼が3次元空間を認識している方法である「両眼立体視」と基本的に同じもので、人は同じものを2つの眼で見ることによって生じる視差で瞬時に3次元空間上の位置を判断しています。人の目ではその位置を精度良く計測することはできませんが、カメラ間の位置関係が固定された撮像角度が異なる2台のカメラで同じ対象画像を捕捉し、コンピュータ処理することによって3次元座標を計測することができます。ただし、3次元座標の計測精度を高めるためには「事前にカメラ間の位置関係を精度良く求めておく」と「カメラで正確に対象画像を捕捉する」ことが大変重要となります。本技術説明では3次元座標の計測はどのような理論に基づいているのか、そして事前にカメラ間の位置関係を高精度で求めるため必須となるキャリブレーション理論について解説します。
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